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判例詳細

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三菱重工難聴裁判

(1)騒音職場

 「つんぼになって一人前」と言われた造船工場で働く人達は、鉄板をエアハンマーなどの機械でたたき加工する現場で、大音響に曝され続け、退職する頃には聴力は大きく失われ、難聴症状が甚だしく、退職後は周囲とのコミュニケーションも不自由になり、わびしい生活を余儀なくされていました。しかも難聴の労災保険の認定は、仕事を辞めないと症状が止まらないとして、騒音工場をやめてはじめて労災が認定されるため、現に大変な騒音に曝されて働いている人の職場環境の改善に役立つことなく過ぎて来ました。

(2)難聴労災認定の動き

そして1970年代に三菱重工業神戸造船所で、難聴の労災認定の大きな運動が起きるまで、全国で騒音難聴の認定を受ける労働者の数は数十名だったと言われています。それがこの運動の進展で三菱重工神戸造船所関係だけで数千人が難聴の労災認定がなされ、多くの難聴になった人達に補聴器が支給される事になりました。

(3)難聴損害賠償訴訟

 更に下請けで働いてきて使い捨てにされた人達が、三菱重工業を相手取り、「三菱重工難聴裁判」を起こしました。その結果はじめて裁判所が、三菱重工神戸造船所の工場に入り、騒音職場の様子を検証する事になりました。
 あわてた三菱重工業は、難聴の健康診断、耳栓等騒音を遮断する補助具の支給、難聴認定者への保障など様々な対策を行うようになりました。
 訴訟は全面勝訴とは行きませんでしたが、三菱重工の責任を認め、多数の働く人へ損害賠償をすること命令しました。

(4)金字塔と言える成果

 三菱重工業神戸造船所での難聴労災認定の運動、難聴の企業責任を問う裁判は騒音職場で働く膨大な数の働く人達への補償、騒音職場の改善、働く人の聴力を守る対策の進展など、我が国の騒音職場での働く環境改善に計り知れない影響を及ぼした画期的な運動や訴訟でした。
文責:髙橋 敬

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