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判例詳細

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阪神電鉄保線基地事件

(1)鉄道高架工事はほとんど国民負担

 阪神電鉄その他私鉄においても、鉄道線路敷きの高架工事が行われ、電鉄会社に巨大な利用可能な空間が生まれます。阪神電鉄西宮駅には、高架工事で生み出された空間でデパートさえ作られいます。
 これらの高架工事の建設費は、90%以上が税金です。すなわち踏切をなくして交叉交通をスムーズにするから、道路財源から工事代金が補助されるというのです。こうして莫大な税金が投じられ、電鉄会社は広大な利用可能な空間を手に入れるのです。濡れ手に粟というたとえが現実にあるのだなと思わせることがらです。

(2)保線基地建設

 阪神電鉄の西宮市今津から香櫨園の区間に高架工事工事が始まりました。西宮市川西町に東西方向に大公害国道43号線と併行し阪神電鉄が走行している南北100mほどの地域があります。北には鉄道、南には国道という公害源があり、住民の平穏な生活が困難なこの地域で、変な動きがあり、土地が地上げされているようだけれど、開発計画も示されないというものでした。
 それが突如この地域に阪神電鉄の高架化に伴い保線基地を設置するというもので、阪神電鉄と工事を都市計画として施工する兵庫県らがダミー会社も使って地上げを行っていたのでした。

(3)住民の反対

 川西町の保線基地敷地周辺の住民は、①住民に全く計画を知らせず極秘裡にダミー会社、まで使って工事を行おうとしていること②地盤の脆弱さ③鉄道運航後に操業する保線基地に環境負荷④雑草防除の劇薬使用等化学薬品被害の恐れ などに不満や不安が有るとして兵庫県、西宮市、阪神電鉄を相手方にして、神戸地方裁判所尼崎支部へ建設禁止の仮処分を申請しました。

(4)保全の暫定和解

 保全裁判所は、兵庫県、西宮市、阪神電鉄の住民との話合不足を指摘し、現地で話し合いをするという暫定和解を提案しました。
 そこで当事者、代理人弁護士が、10回ほど説明と質問、討論という対話方式の現地討論会を行いました。それは集中的でかなり多くの資料を素材に行うもので、地盤の問題、騒音問題など様々な問題が出てきました。そして再度の仮処分も可能かと思われましたが、住民側には言うべき事を指摘したという満足感と集中的に何時間もの討論を続けるという不慣れな経験に疲労感が大きく、直ちに再度の仮処分を行う事が出来ませんでした。

(5)地震

 まもなく兵庫県南部地震が発生し、阪神電鉄は半年ほど普通になりました。住民も大きな被害を受け、転居した人もおり、重傷を負った人もいました。付近の香櫨園駅の周りでは、文化住宅の倒壊で数十人の西宮市民が命を失いました。
 こうして再度の仮処分は行う条件が失われ、保線基地は運用されていますが、今のところ大きな問題にはなっていません。しかし問題が起きれば、暫定和解の際の討論資料が大きな役割を果たします。

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