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判例詳細

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マンション(建物の共同所有)共有敷地の連帯課税

(1)連帯納付義務

 共有地の固定資産税等は共有者に連帯納付が義務づけされているのをご存じでしょうか。たとえば相続で親の土地を共同所有する事になったとか、夫婦で自宅を取得し土地建物を共有にした場合、課税側は誰か1人から固定資産税を全部徴収することが出来ます。
 これは共有者が強い絆で結ばれているので、それほど共有者には負担になりません。

(2)新しい事態

 しかし何百人が土地を共有するマンションや団地で、ほとんど顔も知らない人の分まで1人の共有者に支払いを求められるという事になると、金額的にも後の他人分の税金の回収も大変で、納税を迫られた人が窮状に追い込まれます。
 このような不都合を避けるため兵庫県でも阪神間の各都市では、共有者各自に税金を分割して徴収していました。そして各自治体は国に対して、マンションのような多人数の共有の場合は、各自の持分に応じて税金を支払えるよう法律を改正するよう要請を続けていました。

(3)神戸市の理不尽と勇気ある提訴

 ところが神戸市の各区では、共有を盾に団地の自治会の一人に課税をして、団地の自治会の各共有者から取り立てをさせていました。
 そのころ団地の監事をしていた佐藤庸安税理士が、神戸市に徴税のやり方の不合理さを指摘し、共有者への分割納付への改善を求めましたが、神戸市は法律の規定を盾にして一向に改善要請に耳を貸しませんでした。そこでやむなく佐藤庸安税理士が原告となって神戸市垂水区に対して連帯課税は違法であるとして訴訟を提起しました。審理の中で西宮市の固定資産税課長が連帯納付義務が不合理だと証言するなど、神戸市垂水区長の課税のやり方の問題が浮き彫りになりました。

(4)逃げる裁判所

 追い込まれた神戸市垂水区長は、佐藤税理士に対して連帯課税をしたのではなく団地の別の共有者1人に連帯課税をしたのだから、佐藤税理士は連帯課税の処分を受けていないから訴訟の適格がないと苦し紛れの弁解をはじめました。
 ところがあきれたことに裁判所は、連帯納付義務が違法だと判決する自信がなかったのか、佐藤税理士には処分取消訴訟を起こす適格がないと却下の判決をしました。

(5)法律改正

 しかしながら、連帯納付義務の不合理さがクローズアップされ、この直後に法律が改正され現在ではマンションに住んでいる人も各自が自分の持分にあたる固定資産税を納付すれば良くなっているのです。
文責:髙橋 敬

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