本文へジャンプ

判例詳細

一覧へ戻る

神戸空港訴訟

1 神戸空港訴訟とは

 95年1月17日兵庫県南部地震により、淡路島、神戸市、芦屋市、西宮市、宝塚市を中心に兵庫県の南東部は、壊滅的な被害を被った。 家族や財産を失い、命からがら避難所で空腹や寒さに耐える住民が数十万苦痛に耐えている時、神戸市長が開口一番、神戸空港の建設を地震からの復興の第一歩にすると表明し、被災住民を驚かせた。  あまりに住民のことを考えず開発行為にうつつを抜かす神戸市政に対する住民の反発は大きく、空港の建設の是非を住民投票で行うことを求める住民の署名は30万筆を越えた。しかし神戸市議会の与党はそれを無視し、神戸市は建設を強行した。  そこで住民の一部が、神戸市の空港への財政支出の差し止めを求めたのが神戸空港訴訟である。 

2 何が争われたか

 99年に提訴された訴訟では、空港の必要性(神戸空港が必要な空港事情が存在するか)、空港の財政負担(神戸市は空港の建設費2000億円は埋め立て地の売却でまかない一般財源からの支出は無いとしていた)空港の建設による港湾機能の制限の有無、航空機の運航の危険性、航空機騒音、島に集中する交通による大気汚染、埋め立てによる海洋汚染等多義に渡った。  折しも弁護士会等でなされた空港問題のシンポジウムでも、これらの問題に係り、空港建設の必要性に疑問が投げかけられた。

3 聞く耳持たず建設強行

 しかし神戸市は、住民や研究者の批判を謙虚に聞かず神戸市議会も、十分な審議による吟味検討を尽くすことなく、空港建設は強行された。そこで99年に、神戸地方裁判所へ財政支出の差し止めを求める提訴がされ、その後訴訟の進行中に支出される金額の差し止めが追加された。

4 矛盾に満ちた判決

 2004年3月30日神戸地方裁判所は、住民敗訴の判決を言い渡した。しかしその内容は、(1)健全な財政を損なう  神戸空港建設事業を実施することにより、神戸市財政に一定の影響を与えることは避けがたいものと認められる。ことに本件事業の財政計画が大きくつまずき、神戸空港の建設、維持に当初予定していたよりも大幅な公的資金をつぎ込まなければならない事態に追い込まれれば、本件事業の遂行が引き金となって、神戸市が財政再建団体に転落する懸念も、絶無ではない(判決書p103)。 (2)神戸市の弁明は守られない  本件事業費及び市債償還費用の不足分について、神戸市の一般財源から補填せざるを得なくなり、神戸市財政に悪影響を与える可能性があると認められる(判決書p104)。 (3)空港財政の破綻  神戸市の航空需要予測が大きくはずれ、着陸料収入が当初よりも激減し、着陸料収入によって市債償還費用を賄うことが不可能であるばかりか、空港管理収支自体がなりたたないおそれもある。  そうすると市債償還費用の不足分について、一般財源から補填せざるを得なくなり、その結果、神戸市財政に悪影響を与えるおそれがあると認められる(判決書p107)  と口極め財政支出の危険性があるとしながら、神戸市民の付託を受けた市長や市議会の行うことなので、裁量の範囲内だとし、神戸市の無謀な開発行為の支出を放置容認した。

5 無責任な市政が増長

 空港は無理矢理開港された。しかし予想通り、神戸市の航空需要の予測は水増しであり、利用者は予測を下回り、空港島の売却はほとんどゼロに近く、2000万円の借金返済がはじまっても償還は出来ない状態にあり、さらなる財政への負担が加重している。またこのような理不尽な行為が、市議会の多数で容認されていることを口実に強行することのつけは、神戸市長らが神戸市への損害賠償を命じられた金銭の支払いを神戸市が自ら免除するというあきれた財政的には自殺行為がまかり通ることになっている。  その負担はやがて神戸市民へのサービス切り捨て、サービスに質・内容の低下へつながっていくことは必定であり、易々神戸市の無謀な開発と財政支出を容認した裁判所の責任も問われるところである。

↑このページのトップへ