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コラム

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【民法改正】期間の定めのない雇用の解約の申入れ(民法627条2項・3項の改正)~

1.期間の定めのない雇用の解約の申入れについて民法627条の改正

【要綱仮案】

民法第627条第2項及び第3項の規律を次のように改めるものとする。

(1) 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

(2) 6箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、(1)の解約の申入れは、3箇月前にしなければならない。

2.期間の定めのない雇用の解約の申入れについて現行民法627条

第627条
 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。

※労働基準法20条

(解雇の予告)
第20条
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

<2 以下略>

※労働契約法16条

(解雇)
第16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

3.期間の定めのない雇用の解約の申入れについて民法627条2項・3項の改正

 現行民法627条1項は、期間の定めのない雇用の解約について、各当事者はいつでも解約の申入れをすることができ、申入れから2週間を経過することによって雇用契約が終了すると定めています。もっとも「期間によって報酬を定めた場合」には、当期の前半に次期以後についての解約の申入れをする必要があり(同条2項)、6か月以上の期間によって報酬を定めた場合には、3か月前に解約の申入れをしなければならないとされています(同条3項)。この2項及び3項は「期間によって報酬を定めた場合」には、その期間は雇用が継続するという期待を一定程度保護するための規定と考えられます。
 もっとも、同条項についても労働基準法20条が優先的に適用されます。すなわち 労働基準法20条は、使用者による労働者の解雇について、少なくとも30日前に解雇予告をするか、解雇予告手当の支払をしなければならないと定めています。これは、解雇が労働者の生活に重大な影響を与えるため一定の猶予期間か、当面の手当を与えるものです。なお、前提として、あくまで解雇そのものが法的に有効であることが必要であり(労働契約法16条参照)、30日の解雇予告や30日分の解雇予告手当さえ支払えば使用者は自由に解雇ができるのでありません。
 そうすると現行民法627条は、労働基準法の適用がない例外的な雇用契約(同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人(同法116条2項))における使用者からの解除および労働者からの解除について適用がなされることになります。もっとも労働者からの雇用契約の解除については、2項または3項のように長期間の待機を設けて雇用の継続を保障する必要はありませんし、むしろ労働者の自由を拘束してしまうことになります。
 そこで要綱仮案では、現行民法627条は存置しつつ、2項及び3項については使用者からの解除の場合のみを規律する規定に改め、労働者からの解除は1項の規律に委ねることが提案されています。

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